調律技術の向上

調律師には、古くから築き上げられた調律技術とともに新たな技術の習得も求められています。
ここでは技術の向上を目指して進めている、技術書の翻訳事業や勉強会への参加について紹介致します。

2019年3月、ピアノ翻訳技術書「ピアノの探究」完成

「ピアノのメンテナンス、調律と修理」 第2版

完成した「ピアノの探究」

 ピアノ内部は約6000ケの部品が動き回り、温湿度や使用状態によって変化しているため、置場所の環境や使用状態によって故障や雑音はピアノ1台1台で異なります。また、マニュアルにない故障や原因不明の不具合を限られた時間で的確に直すことは大きな課題です。

ネット検索や多くの技術書を駆使し、わからない修理方法を調べていた中で出会った本が、アメリカの洋書「PIANO SERVICING ,TUNING,AND REBUILDING」です。

英語は専門分野ではありませんが、興味深い写真や図に魅せられ気付くと辞書を引いておりました。そして本書を読み進めると、今まで知られていないピアノの知識や認識されていても文章化されていないノウハウが詰まっていることに驚きました。また、これを基にした作業や説明によって、お客様の信用の高まりを実感するようになり・・・全章の翻訳に踏み切った次第です。

この本には、今まで知られていなかったピアノの知識や、文章化されていなかった多くのノウハウが詰まっていますので、修理に取り組むきっかけとなりピアノの音を更に良くしようとする意識が高まります。これによって、自分の技術や信用が蓄積されていくことを感じることができます。

本業の合間の地道な翻訳作業によって、2019年3月日本語版翻訳書が完成致しました。

多くのピアノ技術者のみなさまにご活用いただければ、誠に幸いに思います。

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◆ 特定商取引に関する法律に基づく表記

技術書の概要と特長

「ピアノのメンテナンス、調律と修理」 第2版

原書:左から第1版(1976年)、第2版(1993年)、
仏版(2005年)、翻訳した最新第2版

本のタイトル
「ピアノの探究」 ピアノの選定 調律から修理 オーバーホールまで
著者
アーサー・A.リブリッツ
概要

日本語版翻訳書300ページ/A4サイズ 8章構成

1章 ピアノの紹介
年代による様式と形状とサイズ
2章 ピアノの内部情報
部品の名前とはたらき
3章 古いピアノの評価
購入または修理する価値がありますか
4章 クリーニングと簡易修理
摩耗や破損した部品の修理
5章 整調
アクション、鍵盤、ペダルが正しくはたらくための調節
6章 調律理論と専門用語
 
7章 調律手順
 
8章 完全な修復
作業場で新品のようにピアノをオーバーホールすること

第1版は1976年アメリカで初版。45000部発行。
2005年仏版出版時に、英語版60000部販売。専門書としてはベストセラー

推薦文
原書の冒頭には、スタインウエイ社からの推薦文が寄せられており、アメリカでは25以上もの専門学校で教科書として使用されている。
日本語版では、(一社)日本ピアノ調律師協会 会長による推薦の言葉を賜った
出版社
サイバー出版センター
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<特長1:各部の説明>

主な部品だけでなく、フレンジやヒッチピンなど小さな部品まで、形状や配置がアクションの動きやピアノの音にどのように影響を与えているか、その役割やはたらきが詳しく解説されている。
 作業の手順や便利な特殊工具の使用方法について、多くの図や写真でわかりやすく示されている。
また、使用される材料の種類や接着剤や薬剤の成分について、用途や目的に応じた特徴が説明されている。更にピアノの構造に関する変遷が説明され、中古ピアノの鑑定方法も学習できる

<特長2:修理>

簡易修理とオーバーホールによるピアノの修理が本書の半分を占めている。更に故障の症状や、所要時間、修理費用に応じたメンテナンス方法が紹介されている。
著者の経験に基づく、事前準備や回避すべき注意事項、作業の安全性やクリーニングの重要性も説明されている。

<特徴3:間接的な知識>

ピアノの調律の変化や一本弦のうなり、スティックや種々の雑音など、不具合が発生するメカニズムと、それに基づく対策や解決指針が紹介されている。
この他、耳の感度を高める方法や、調律依頼者の満足度を高める方法について記載されている。

自動ピアノ

<著者紹介>

1968年イリノイ大学音楽教育機関にて科学技術の学士を取得。アメリカのピアノテクニシャンギルド(PTG)の登録正会員(RPT)。
オーケストリオン、コインピアノ、リプロデューシングピアのなどの自動ピアノの修理において、世界をリードする人物の一人。姉妹本「自動ピアノのメンテナンスとオーバーホール」など執筆。リブリッツ修復店経営、コロラド州コロラドスプリングス在住。

技術書を読む(学習会)

日本ピアノ調律師協会(ニッピ)の関東支部主催「ピアノ技術書を読む(学習)会」

  • 技術書を読む(学習)会の様子
  • スピネットピアノ分解実習
  • バス弦音色実習

この技術書で紹介しきれない多くの作業を補うため、技術セミナーへの参加や他の技術者と交流を持つことを、著者は強く推奨しています。

国内唯一の調律師の組合である日本ピアノ調律師協会関東支部では、「ピアノ技術書を読む(学習)会」が、日本の調律界をリードするベテラン調律師主導の元、定期的に開催されています。

2017、2018年に引き続き、2019年もこの技術書「ピアノの探究」を3回/年、採り上げていただくことになりました。参加ご希望の方はお気軽にご連絡下さい。

IAPBTセントルイス大会コンベンション

 

2017年7月世界ピアノ製造技師調律師協会(IAPBT)の発足20周年、セントルイス大会コンベンションが、アメリカのピアノテクニシャンズギルド(PTG)主催によって盛大に開催されました。
 まだまだ勉強中の私が出版を手掛けていいのか不安でしたが子育てと介護の狭間、自分の時間は今しかないかしらと参加させていただきました。この様子と写真の一部をご紹介させていただきます。

セミナー

開催期間中、朝8時から1コマ1時間半のセミナーが毎日5コマ4日間組まれ、約30もの研修室は毎回どの部屋も半分~満席!セミナーの途中でも質疑が活発に行われ、年齢性別を問わず意見交換が盛んに行われておりました。

テーマはピアノの調律、整調、整音はもちろん、特に多かったのはピアノの修理やオーバーホールです。この他にも自動ピアノ、女性調律師の交流会、健康、ビジネス展開指導も見逃せないテーマでした。毎日ざっと三百人以上の参加者で賑わっていたと思われます。

  • この表が4ページ以上、
    14項目全112テーマ
  • 各部屋50人前後収容
  • 昨年技術書を読む会で使用した
    整音DVDの講師
  • 女性ならではの問題を意見交換
  • 塗装修理の最新情報
  • 講師が牛の皮から抽出した膠で実習
展示ホール

展示ホールは、多くのピアノメーカーの他、調律工具類、チューナー、書籍、PTGグッズ、そして写真でしか見たことのない古い修復ピアノが展示されていました。ピアノはどれも試弾可能で、ピアノ技術者とは思えないほど演奏技術は高く、ピアノが心底好きな人達の集まりであることを感じました。

  • 展示ホール全体の様子
  • 修復ピアノ、スタインウエイ社
  • 修復ピアノ、メイソン&ハムリン社の スクリューストリンガーピアノ
  • 修復ピアノ、チッカーリング社、
    直行弦式ピアノ
  • 修復ピアノ、ベレラディック社(オーストリア)の ヴェネッセアクション
  • 修復ピアノ、スクエアピアノ
  • ブリュートナー社(ドイツ)、
    4本弦アリコートシステム
  • グランドピアノ横倒し治具販売
  • ピアノバイブル販売
イベント

ピアノに関するセミナーだけでなく、セントルイスシティツアーやバドワイザービール工場見学、夜はPTG主催ラグタイムコンサート、カワイ主催ピアノコンサート、ヤマハ主催スイング(ダンスホール)、ピアノカラオケ大会、PTG有志によるバーバーショップコーラス演奏など賑やかな企画が盛りだくさんでした。

  • デイブ・マクラックによるラグタイム  軽快なタッチをスクリーンで紹介
  • バーバーショップ コーラス
  • 2年後のIAPBT浜松大会アピール

最後に

技術書の情報収集と勉強のため地球の裏側へ、出版の心配をよそにコンベンションのスケールの大きさ、参加技術者の多さ、セミナーや展示内容の多さ、ホテルのベッドの大きさなど、全てのスケールの大きさに圧倒されました。また、駒やピン板の修復のようにピアノのオーバーホール(小さな部品まで分解、修理を行い新品同様に戻すこと)に関してなかなか日本人技術者が行わない領域まで何の躊躇もなく手を加えていることに驚きました。

アメリカの大きな器に刺激を受けると同時に、日本の繊細さ、水準の高さと今後の展望を感じ、大変有意義な時間を過ごすことができました。

  • ホテルの”ディナー”:ハンバーガー!
  • 本場ハードロックカフェのステーキ&ジャンボキュウリ:女子でシェア
  • 真冬のようなエアコンの利きで体調不良:バーボン&熱燗が救いの手
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